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キャンディーズの楽曲解説 『IT'S VAIN TRY TO LOVE YOU AGAIN』

キャンディーズのミキちゃんこと藤村美樹の作詞・作曲による楽曲(作曲は渡辺茂樹共作)。
イントロなどに70年代中盤のソウル・ミュージックからの似が指摘されるものの、メロディーと歌詞は完全にミキ(作曲は渡辺茂樹との共作)のオリジナルとして独立している。ミキのキャンディーズの活動後期のバラードの楽曲として『あこがれ』、『FOR FREEDOM』、『おとうさん あなたへ』と並んで秀作として評価が高い。
「ファイナルカーニバル」においてはキャンディーズの3人の自作自演の曲の中ではそれぞれのソロコーナーの前に唯一自作自演の曲として歌われた曲でもある。
「ファイナルカーニバル」ではソロコーナーの開始を告げるように28曲目に歌われている。

作詞:藤村美樹 作曲:藤村美樹・渡辺茂樹 編曲:穂口雄右
初出アルバム: 『早春譜』
リリース: 1978年3月21日

楽器編成
「オリジナルバージョン」
Eギター Eベース フルート1 トランペット1 ヴァイオリン1部 グロッケンシュピール タンバリン マラカス ピアノ ドラムス

「ファイナルカーニバルバージョン」
Eベース キーボード トランペット2 タンバリン マラカス ドラムス

ミキの作詞・作曲でも特筆すべき秀作にとどまらず、上記のようにキャンディーズのオリジナル楽曲全体の中でも『あこがれ』とこの『IT'S VAIN TRY TO LOVE YOU AGAIN』は非常に重要度が高い。
タイトルの「IT'S VAIN TRY TO LOVE YOU AGAIN」をどう訳すかは解釈が若干別れ、「Vain」をどう訳すかが分岐点となる。
筆者としては曲の意味を踏まえると「もう一度あなたを愛することは無駄なのね」としたい。

歌詞は想いを寄せていた彼が突然彼女の前からいなくなってしまうが、彼のことが忘れられずに今も愛し続けているという純朴な心の中に秘められたセンチメンタルな気持ちが表現されている。
歌詞に出てくる窓の外の風景はその想いを寄せる気持ちとは裏腹にアイロニカルな情景が広がりポエティックに描かれている。

編曲は上記のようにオリジナルと「ファイナルカーニバル」では大きく異なる。
オリジナルでは冒頭にヴァイオリンが16部音符で上昇し、その後サビの旋律が同じくヴァイオリンでつややかに奏でられる。その裏でピアノがアルペジオで装飾する。その後にタイトルが出たサビがアウフタクトで16小節歌われる。
途中フルートも出てきて柔らかさが出て、トランペットと交互に奏でられる。それはフルートが女性、トランペットが男性というような相容れない悲恋を表しているようにも映る。その上にミキのエモーショナルな歌声が対照的になりより響き、続くサビで頂点に達する。
「ファイナルカーニバル」においてはドラムスのスティックのリズムの刻みの後に、これ以上なく印象深いトランペットがその主旋律を高らかに奏でる。タンバリンとマラカスの刻みにも差異がある。テンポは両バージョン共に123とほとんど変わらない。
オリジナルではサビにミキの主旋律に僅かに別テイクのミキの歌がミキシングされハーモニーを創っている。キャンディーズ初期の最高傑作の一つの『悲しきためいき』のようにバラード的な歌詞であるが、この曲も右の曲のようにいわゆるアイドル的要素を排し、ロック的、あるいはソウルフルなエモーショナルな歌声になっている。
「ファイナルカーニバル」においては3人がユニゾンで歌われる。かすかに途中のサビの部分で3拍目から僅かにハーモニーとして聞こえる部分がある。
「ファイナルカーニバル」においては何かにすがるような力強い歌声で、オリジナルよりも更にエモーショナルに歌われている。
特にミキのPAが強いということもなく、冒頭こそスーの歌声が強いものの、3人の歌声が同じような音量で歌われている。
コーダはオリジナルではサビがリピートされディミネンドして終わるが、「ファイナルカーニバル」のバージョンのコーダではライヴにふさわしい編曲となっており、トランペット2本が有機的に絡まり合い、別れてもなお彼への思いが強い気持ちを表しているように力強く締めくくられる。

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※なお、渡辺プロダクションに所属していたシンガーズグループの「キャンディーズ」とは業務上関係はございません。

作家 石井宏幸

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